雪と風の恐ろしさ。この経験は一生忘れない

iceland

次の目的地に向かう途中、天気がどんどん崩れていった。

ちらほらと降っていただけの雪が少しずつ吹雪いていき、両端だけ真っ白だった道は

気づいたら一面真っ白になっていた。

地図で示す目的地へたどり着いたと思った時、目の前の道の真ん中に1台の車が

止まっていたことに気づく。

その車から人が降り、吹雪の中僕らの元へやってきてこう言った。

「この先の道は通行止めだよ。いつ封鎖が解けるかもわからない。今日中には無理だ。」

その時点で、その先数百キロのところに予約していたホテルにたどり着けないことが決定。

滝までも吹雪が強すぎてとてもじゃないけど歩けない。

ここに来て、レイキャビクの宿に貼ってあった張り紙が嘘をついていなかったことが判明。

まぁしょうがないので来た道を引き返し、一旦宿のキャンセルと今日の宿の確保のために

路肩(っぽいところ)に車を止める。

追加料金を払ってモバイルルーターをレンタルしておいてよかった。

20分程止まって宿のキャンセルと確保を終えたころには、辺りはすっかり猛吹雪。

10m先ですらまともに見えない状態だったが、ここに止まっていても止む保証はない。

仕方がないのでゆっくりでいいから引き返そう。

そう思ってエンジンをかけてアクセルを踏んだのだが、なんと車が動かない。

どうやら停めた場所が悪かったらしく、もともと雪が積もってたところに突っ込んで

停めた上、更にこの吹雪で雪が積もってタイヤが空回りしているらしい。

マズい、これは非常にマズい。ネットでこんな時の対処法を調べ、猛吹雪の中ドアの外に出て

タイヤの周りの雪を取ったり、ちょっと車を押してみたりして、何とか脱出を試みる。

新聞紙か何かタイヤと地面の間に挟めるものでもあればもっと楽だったんだけどね。

わざとエンストさせて車を揺らしてみたり、思いつく限り色んな事を試してみる。

30分弱格闘したところで、ようやく車を動かすことが出来た。

丁度後ろからさっきの道を封鎖していた人たちの車も来たところだったので、

最悪助けてもらおうと思ったが何とか自分たちで抜け出すことが出来た。

よし、後はのんびりでもいいから宿へ向かうだけだ。

そう思ってギアをバックから1stに入れ替えて進んだ次の瞬間。

車は道の左側にあるちょっとした坂の下に落ちて行った。

(田んぼ道で田んぼに落ちたのをイメージしてもらえれば)

坂の途中で止まりはしたものの、雪に突っ込んだためもはや自力での脱出は不可能。

ここに来るまでに雪に突っ込んでる車やスリップしてる車は何度か見ていたけれど、

まさかこのタイミングで自分がそんな事故を起こすとは。

正直、なぜ道の左側に落ちたのかははっきりとはわからない。

右側通行の道で、車を停車していたのは右側の路肩。

動かなくなった車を何とかバックで動けるようにして、道の左右にあるポールの間を

進もうと思った瞬間の出来事だった。

バックした際に、抜け出せた喜びで頭がいっぱいで、その時車が道のどのあたりにあるのかを

錯覚していたのかもしれない。

左右にあるポールを見間違えていたのかもしれない。

嫁曰く、なんで左側に行くんだろうって思ったらしい。

訳も分からぬまま、僕らの車は道の左側の坂の下にある雪に突っ込んでいた。

あーやっちゃった。

けれども焦りはなかったし、雪の中救助が来ないかもなんていう不安は全くなかった。

幸いさっきの人たちがすぐ後ろにいて、この一部始終を見ていたからね。

ただ不安だったのは、この状態から宿にどうやっていけるか、どのぐらいレスキューに

お金がかかってしまうのかということ。

保険には入ってるけど、どれだけ賠償されるのだろうか。

最悪ネットはつなげる環境を持っているから、助けは呼べるし何とかはなる。

死にはしないから、それだけは大丈夫。でも、か、金が・・・

なんて思っていたところで、窓の外にさっきの人が来てくれ状況確認。

どうすればいいか聞いたところ、彼らの手で車は救助できるとのこと。

但し万が一救助の際に車が傷ついた場合の費用は彼らでは持てないと。

それでも大丈夫なら助けるから、少し待ってて。そう言ってくれた。

もちろん自分だけではどうすることも出来ないので、救助をお願いする。

15分程待ったところで、別の車が来て作業開始。その間僕らは車の中で何もせず

待ち続ける。しばらくしたところでアクセル操作が必要になり、細かいクラッチワークは

自信がなかったので変わってもらったぐらい。

別の車で引っ張りつつ、自分たちの車はバックギアで動かし、外からも手で押して

何とか脱出させることに成功。

車に傷がついたかどうかは分からないが、とりあえず一安心。

そしてなんとこの作業自体はまさかの無料。一切お金の請求をされることがなかった。

ってことは、こういうことは良くあることなんだろうな。

作業してくれたおっちゃんが、「良い経験したな!」なんて言ってくれたのが救い。

しかし脱出したとはいえ、まだまだ猛吹雪。もはや視界は5mもない。

事故ったすぐ後にこの中を運転するのは怖かったので、最寄りの街まで運転代行して

くれないかと頼んだところ、快くokをいただく。

代行してもらってる間は、彼がどうやってこの中を運転しているのかをよく観察することに。

スピードはどのくらいか、ギアはどのくらいか、どこを見ているのか。

最寄りの街から予約したホテルまではまだ60km程あるため、必然的にまた自分で運転する

ことになるからね。今度事故ったらそれこそどうなるかなんてわかんないし。

最寄りの街に着いた頃にはすっかり吹雪は止んでいた。

街に入った瞬間、今までの吹雪が嘘のように止んだからビックリ。

代行を頼まなかったらまた事故ってたかもしれない、そう思えるほどこの街までの

道のりは恐ろしかった。視界ほぼゼロだったもん。

彼にお礼を言って、さぁこっからは自分で運転だ。

天気も良くなったし、あと60kmならゆっくり行っても2時間あれば行ける。

なんて思ってたのも束の間。

少し走って街を抜けたら、またさっきの状況がやってきた。

しかも今度はさっきよりもひどい。かろうじて片側のポールが見えるか見えないかぐらいで、

ピーク時には本当に視界0に限りなく近い状態にまでなった。

想像してみてほしい、フロントガラスの外が真っ暗で、ライトで照らしているため白く

見えるものの、道は全く見えないし自分がどこを走っているのかもわからない状態を。

濃霧の中を走るよりも、恐らく視界が悪かったと思う。

たまに前に対向車線の車のライトが見えたときなんて恐怖だよ。

自分がもしかしたら中央分離帯より相手側の車線にいるかもという恐怖と、

だからと言って右側に動こうものならさっきみたいに落ちてしまうか雪に突っ込んで

動けなくなってしまうかもという恐怖。

時速10km, いや、もしかしたら5km、もはや徒歩と同じぐらいのスピードで走った

区間もあったと思う。昼間には80kmで走ってたなんて嘘みたいに、スローに、

とにかく安全第一に、滑らないように、落ちないように、神経をフルに使って走り続けた。

通常なら1時間もかからず行ける区間を、倍以上の時間をかけて、とにかく事故らないよう。

人生で最も緊張した時間だったかもしれない。事故と隣り合わせ、もしかしたら死と隣り

合わせ、しかも死ぬとしたら嫁まで巻き込んでしまう。

そんなプレッシャーの中走り続け、遂に目的の街にたどり着いた時の安心は、

今まで恐らく感じたことのなかったほどだろう。

これはポールがちゃんと両端とも見えるし道も見えるからマシ。酷い時はこれが何も見えない。

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宿に着くと、今朝見た張り紙と同じ張り紙が張ってあり、この警報は明日も

続くとされていた。道路状況をネットで見てみると、今日通行止めになっていた道は

もちろんのこと、ここから空港までの道までもが全面封鎖されていた。

スタッフ曰く、明日も恐らく1日中この封鎖が解けることはないだろうとのこと。

4日間しかないアイスランド滞在。観光が出来たのは初日と2日目の午前中だけだった。

翌朝、外は雪も降っておらず、風もそこまで強いわけじゃない。

だけど依然として道路は封鎖されていたし、一部通行できるようになったところは

あったものの、昨日みたいなことが起きないとも限らない。

と言うことで、せっかくレンタカーを借りてまで物価の高いアイスランドに来たのに、

3日目は1日中宿に引きこもり。近くのスーパーだけは運転していったけど、それだけ。

しいて言えば、アイスランドのシャワーはなぜか硫黄くさいので、シャワーを浴びてる時

だけ温泉にいる気分になれた感じはしたかな。いや、臭かっただけかな。

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4日目、本当は空港に行く前に1か所ぐらい観光してから行こうと思ったけど、

何が起こるかわからなかったので真っ直ぐ空港へ向かうことに。

ちょっと回り道してドライブを楽しんだけど、給油以外に車を降りることはなかった。

事故って引き揚げてもらったこともあり、レンタカー返却で傷などの指摘があると

思ったが、以外にもノープロブレムとのこと。

あれだけ心配したレンタカー費用も、最初に払った以上は払わず終了。

4日中2日しか観光出来ず、オーロラも見ることが出来なかった。

せっかくここまで来たのに1日中引きこもる日があったし、何のために来たんだかね。

おまけに事故るし、ほんとアホだ。

でもアイスランドは、きっとまた来る。

今度は雪のない時期に、オーロラを見に、そしてもっと多くの自然を見にやって来よう。

正直、今回のアイスランドはほぼ失敗。だから、ちゃんとリベンジしにいかないとね。

ある意味、ものすごく貴重な体験が出来たアイスランド旅だったな。

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