朝5時過ぎ、既に周りの人達は起き始めたらしく、ガサガサ音が鳴り出す。
さすがに早すぎだろ。そんな中自分は6時15分に起き、準備開始。
朝食が6時半からだったので6時40分ごろ行ったら、既にパンは無くなっており、
紅茶と砂糖しか残っていなかった。
まさか他の人達はこの状態を予期していたのだろうか?
まぁ受付以外に姿を現さないスタッフの管理するアルベルゲ(宿のこと)だし、
こんなもんなんだろう。今後アルベルゲに期待はしないと心に決めた。
7時5分、いよいよスペイン巡礼の旅の始まりだ。
まだ薄暗く、気温もTシャツ一枚では肌寒い中、初日がスタート。
宿泊したアルベルゲの中ではほぼ最後に出発したが、歩き始めると同じ時間から
スタートした人がたくさん。
年代は僕らのような若い人から、すでにリタイヤした人までと幅広い。
むしろリタイヤ後に歩きに来たような人が多いぐらいか。
歩き始めて最初の30分ぐらいは舗装された道路だったが、すぐそれはハイキングコースのような
傾斜のある道に変わった。
このフランス人の道というそれ自体が世界遺産になっているこの道を歩くルートだと、
一番キツイのがピレネー山脈を超える初日らしい。標高200mから1400mまで登るのだ。
歩き始めから20kmほどのところまでとにかく登りが続くので、結構キツイ。
結局何も送らず、少し捨てつつも巡礼用に買い足したものを含む自分のバックパックの重さは
約13キロ。それプラス食料1.5キロほどを片手に持ちながらの山道だからね。
歩き始めて1時間もしないうちに肩が悲鳴をあげだした。
だがそんな山道である分、景色は素晴らしい。
登り始めはまだ曇っていただけだったので、遠くに見える緑の山々や、
側道で草を食べてる羊やヤギ、それから牛などがとても素敵だった。
こんな素敵なところを歩いて旅が出来るというだけで幸せだ。これこそが旅だ。
巡礼の道を示すマーク(基本ホタテと黄色い矢印)があるので迷うことはあまりない。
途中から霧が濃くなり、15m程しか見えなくなってしまったが、
その中をとにかく前へ前へと歩き続けるのも、また気分が良かった。
休憩を挟みつつ、少しずつ前へ、上へと登っていく。
汗が流れ落ちた額は、いつの間にかとても冷たくなっていた。
標高が上がるにつれ、天候の関係もありどんどん外気が下がっていく。
体の内部が熱を持っているので、冷たい風が丁度良い。止まると少し寒くなるのだけれど。
移動販売の車。
僕らが進む速度は、決して遅くはないはず。
だが周りの人にはどんどん抜かされてゆくのだ。例えそれが年寄りの方だろうと、
僕らより軽快なステップでどんどん先へ先へと進んでいってしまう。
競争ではないし、気にする必要もないはずなのだが、やはり少し気になってしまう。
(あまり遅く行きすぎると、ピークシーズンのこの時期は宿が埋まってしまう可能性があるため)
もちろん途中で休憩を挟む人は多いので、抜きつ抜かれつつの関係でもあるのだが、
それでも皆僕らよりペースが速かったように思える。
うん、多分足の長さの差だろうね(by嫁)
残り4キロ弱というところで、ようやく下り坂に差し掛かる。
今まで山の表面をずっと歩いてた感じだったが、ここでようやく山の中(林道)に入っていった。
日があまり差し込まないのか、道はぬかるんでいて歩きづらいところも多い。
そして下り坂と言うのがなかなか厄介で、肺にかかる負担は登りよりも楽なものの、
足にかかる負担がはるかに大きくなり、疲れが増すのだ。
だがあと少しの辛抱だ。
疲れた肩と足に鞭打って、転ばないよう歩き続ける。
そしてついに、約27.1キロの道のりを終え、最初の目的地へと辿り着いた。
所要時間約7時間。初日かつ山越えということもあり、だいぶしんどかったな。
アルベルゲに着くと、受付待ちの列が出来ている。
たくさんの人がこのアルベルゲに泊まろうとするため、受付が混みすぎて
(なのに1人で対応するとかアホでしょ)1時間立ちながら待つ羽目になった。
早く座りたいのにこの仕打ち、これが巡礼なのか。
ようやく入れた部屋はとても広く、ベットが80台ほどある大部屋ドミトリー。
作りは綺麗なので良かった。
一応キッチンもあるので、シャワーと洗濯を済ませたら夜ご飯の買出しに出てみる。
が、なんとこの場所、歩ける範囲には教会とレストランと宿しか存在せず、
食料が手に入らない。
アルベルゲで朝食チケットが3.5ユーロ、夕食チケットが10ユーロで
売られていたのはこういうことか。
きっと巡礼者以外この場所にはやってこないのだろう。
そうしてやってきた巡礼者に金を落とさせる仕組みらしい。
仕方がないので持っていた米と玉ねぎ、また宿の自販に売ってたソーセージを買い、
ケチャップであえてケチャップライスにして食べた。
本当は毎日レストランで食べるという贅沢な旅かしたいが、
まぁそれは現段階では夢でしかないのでしょうがない。
と言うか巡礼だし、質素な感じで行く方がありがたみがある気もする。
そんな感じで、巡礼初日終了。
あと740キロ、33日ぐらいかな。
とりあえず明日は間違いなく筋肉痛で辛いが、今日よりは楽な道のはずなので
サクッと乗り越えよう。
~本日の行程~
日時:2015年9月2日
区間:St Jean pied port(フランス) – Roncesvalles(スペイン)
距離:約27.1km
時間:約7時間 (7:05 – 14:15)
天候:曇り & 霧
気温:10~20度ぐらい