5:30起床。今日は12時までに絶対に目的地にたどり着かなくてはならないので少し早めに
起きて準備する。結局出発したのは6:43だったのであんま早くはないのだけど。
雨は小雨のようだ。よっしゃ、このまま5時間もってくれ!!
わかりにくいが、電線に靴が。誰が、いったい、どうやって、何のために・・・
と、そんな願いが神の存在するはずのないこの世界において届くはずもなく。
自分のことに関しては、神頼みと言うのはとっくの昔に捨てたんだおれは。
そして巡礼で、改めてわかった。やはり神などいない。少なくとも自分には。
宗教なんて大っ嫌いだ!!!なんてのはどうしようもない八つ当たりなのだが。
つまり、大雨が降ったわけで。しかも雷雨。
もうね、地獄とはこのことを言うのかと。寒いし重いし歩きにくいし。
想像してみてください。
気温15度以下、強風大雨の中、背中には重さ12kg程のバックパック、片手に重さ3kg程の
手提げ袋を持ち、100均でゲットしたレインコート(半袖7分丈)を着ながら山道を
5時間弱歩くという状況を。それが今日の自分たちの行程だよ。
荷物全部放り投げて、今すぐにでも歩くのをやめてお家に帰りたくなるよきっと。
サンティアゴの街中なんて、道路が川になってたからね。坂道では水流に足取られるぐらい
の勢いだったし、排水溝なんてまるで機能してなかったし。
それはそれはとてもしんどいもので、これ以上ないってぐらいしんどい20kmだった。
それでも何とか11:30にこの巡礼の目的地である、サンティアゴデコンポステーラの大聖堂
に到着したんだ。よっしゃ間に合った!!って思ったのも束の間、なんとバックパックを
背負った状態では中に入れないとのこと。
もうさ、ほんとふざけんなよ!!!!って感じ。
なんで巡礼者たちの目的地なのに、巡礼者たちの99パーセントが持っているバックパックを
背負ったままだと中に入れないんだと。意味がまるで分かりません。
(後々見つけたけど)近くに荷物置けるところもないし、400m程離れたところにようやく
見つけたアルベルゲはアルベルゲとは思えない値段で泊まることが出来なかったし・・・
もうすぐ12時のミサが始まってしまうというのに荷物を置く場所がなくて、ほんとに焦って
焦ってイラついてイラついて・・・最後の最後なのに、なんでこんなんなんだよ!って。
結局大聖堂のすぐ近くにある巡礼証明書を発行してもらえるオフィスのトイレの外に
バックパックを放置して(巡礼者たちの中に盗人がいることは基本的にはないので、
もうそれを信用して放置。アルベルゲでもiphoneとか目離しても盗まれないし。)
急いでミサへ。結局3分ほど過ぎてはしまったが、無事入れたので良かった。
って思ったんだけどね、なんだかねー何言ってるか全然わかんないし、目的だった
イベントは寄付金不足で行われなかったしで、全然なんでここを目指して必死になったのか
わかんなかったよ。聖歌の生歌と聖堂内の雰囲気はすごく素敵だったんだけどさ。
いかんせん雨の中歩いてきて冷え切った体では、寒くて眠くてしょうがなかった。
晴れの日だったら、180度異なる感想になったんだろうと思う。
だけど今日こんな日に到着したのでは、もはや何も感じることはなく。
ただただ、自分は何を目指してここまで歩いてきたのかと自問自答するのみ。
終わりよければ全てよし。じゃあ終わりが悪かったら?
全て悪し、とは言わないよ。だけどさ、あんまりだよ。
だから、自分勝手な理論なのはわかりきってるけど、おれはハッキリと言うよ。
神なんかいないし、信じるべきでもなければ頼るべきでもない。
宗教なんて、くそくらえだ。所詮人を都合よく支配し洗脳するための手段でしかない。
別に巡礼を宗教的な理由とかでやったわけじゃないんだけど、それでも、この巡礼の
果てに、宗教と言うものを少しながらも考えながら歩いた結果としての宗教に対する
自分の答えは、これに尽きる。
聖歌が素敵だった以外に何も感じることのなかったミサが終わり、アルベルゲを地図アプリ
で探してきた道を戻るような形で向かう。
ここサンティアゴにはたくさんの巡礼者たちが集まるし、ミサを見た限りかなり多くの人が
荷物を持たない状態で参加していたので既にアルベルゲもフルかと不安だったが、とりあえず
その点は大丈夫だった。ようやく落ち着ける。
濡れに濡れまくった荷物を降ろし、ずぶ濡れの靴を脱ぐ。
完全防水ではないバックパックは、カバーを付けていたとはいえ隙間と言う隙間から水が
浸水しており、中の服も本もその多くがずぶ濡れだった。
心配だったパソコンは若干湿ってはいたものの、とりあえず無事だったので一安心。
外は雨だし湿度も高いので、恐らくベッドの柵にかけているだけでは全く乾かないだろう。
バッグの中もところどころ水が残っているので、一度全ての荷物を出して乾かしたいが、
ドミトリーではそれも出来ない。
しょうがない、明日は荷物を乾かすためだけに高い宿に1泊することにしよう。
35日目にして、初めての全く歩かない普通の日だ。明日はのんびり出来るんだ。
そして1泊完全休養したら、海へ向かって約120kmを4~5日かけて歩こう。
世界遺産でもあるフランス人の道は、フランスのサンジャンからここサンティアゴまでの
775kmで終わりなので、ここで巡礼をやめる人も多い。
だが実はまだ道は続いていて、スペインの西端まで行く道があるのだ。
雨でやる気は失いかけたが、まだ時間もあるので1日休んだのちに、もう少し僕らは歩く。
地の果てと呼ばれるその場所まで、そしてそこから更に先にある場所まで。
まだ僕らの巡礼は終わっていない。
シャワーと洗濯と昼飯を終えたら、大聖堂近くにある巡礼事務所へ証明書をもらいに行く。
お昼に到着したときにも結構並んでいたが、午後4時頃でもまだまだたくさんの人がいた。
ただの証明書はタダでもらえるが、名前やスタート地点、距離などが入ったものは3ユーロで
もらうことが出来る。僕らはせっかくなので3ユーロ(+筒代として2ユーロ)払って全部
載った巡礼証明書をもらうことに。
巡礼なんて誰かに認めてもらうものでも、誰かに証明してもらうものでもないんだから、
こんなのいらないだろって歩きながら思ったこともある。
だけどいざそれを手にしたら、自分でもびっくりするぐらい、嬉しい気持ちになった。
あぁ、自分は775km歩き切ったんだな。しかも愛する嫁と一緒に。
ここ2日間のように、きつくて辛くて何もかもが嫌になったときもあった。
だけどこれから先ホタテを見るたびに、また何かのふしに、ふと思い出すのだろう。
そういえば新婚旅行で800km弱2人で歩いたね、と。おれがイライラしてばっかで大変だった
けど、楽しかったよね、と。
そんな光景を想像するだけで、そんな想像が出来るだけで、
この巡礼には価値があったのだと思う。
卒業証書みたい ↑。晴れると↓。午後5時ぐらいから一時的に晴れた。このタイミングで到着したかった。
ちなみにこの大聖堂、正面はこっち。工事中。。。
裏側
0km地点?
ピレネー山脈越えから始まり、ぶどう畑、ひまわり畑、トウモロコシ畑、栗・どんぐり林
を歩いたこの道の最後は、雷がなり響く大雨の中のコンクリートロードだった。
全800km弱の道のり、遂に完結。
そして始まるエピローグ。間に1日休憩をはさんで、明後日からもう少しだけ続きます。
~本日の行程~
日時:2015年10月5日
区間:O Pino – Santiago de Compostela
距離:約20km
時間:約4時間40分 (6:43 – 11:30)
天候:雷雨
気温:11~18度ぐらい
アルベルゲ:Albergue Meiga Backpackers (11ユーロ)
やったね、ずうっと読んでたよ。良いとき、大変な時、いろんな事があつたようだけど、34日間よく歩き通したね。
とりあえずひと段落!今日一日ゆっくり休んだから、明日から4~5日かけてあと120km程歩いてくるよ!まだ終わってはいないのだー