6時起床。
ドミトリーの電気はみんな付けず、自分のライトを使って準備を始める。
まだ寝てる人も中にはいるが、ほとんどの人が7時前には出発するのだ。
僕らも6時50分に宿を出る。
辺りはまだ暗いが、今日は雨は降っておらず晴れそうだ。
足に疲労感はないものの、痛みはこの2日間蓄積された分のしかかってくる。
特に左膝と左アキレス腱が痛む。下り坂に差し掛かると真っ直ぐ普通に歩くことがなかなか困難だ。
歩き始めて体があったまってくると若干マシにはなるものの、
やはり常にこの痛みとは共存していく必要がありそうだ。
今日の行程はこの2日間より短く、また起伏が少ないらしい。
何もないところも歩いたが、最初の10キロちょっとを過ぎると街に入り、
その後はずっと街中を歩くことになった。
街にパン屋があるとものすごく嬉しい。
出来立てのパンを買って食べられることがものすごく贅沢なことに思える。
パン屋って素敵な商売だな。
個人的には今日は一つの目標地点がある。
5日前に一泊した街であるパンプローナだ。
スタート地点であるサンジャンピエドポーからはバスで行けば2時間で着く距離だが、
歩くとどれぐらいかかるのか。
結果は全部で約20時間、つまり約10倍。
約70キロの道のりを、3日かけて戻ってきたのだ。
知っている道にたどり着いた時は少し感慨深かった。
また、今では当たり前のように毎日見るのに5日前には発見できなかった巡礼マークも
見つけることができた。
この街にこんなにこのマークがあるなんて、巡礼をするまではわからなかったよ。
せっかくなのでここで少し休憩を取る。大きい街なので、
今日はここまででやめる人も多そうだ。
だけど僕らはもう一つ先の街まで行く。
ここから更に歩くこと1時間ほど、街を出て丘を登った先にある小さい街まで
歩ききったところで、今日の行程は終了だ。
今日はここ３日間の中では一番歩く距離も短く、かかった時間も6時間と短い。
なので当然疲れも少なく、足の痛みも昨日よりはだいぶマシだった。
アルベルゲも僕らで2組目と、かなり早い段階でベッドを抑えることができ、
最高の行程だったと言える。
ただ街自体がとても小さいため、宿にキッチンはあるものの、
そこで自炊する用の食材が満足に手に入らない。
昨日もそうだったけど、小さい街に泊まるデメリットはこれだ。
しょうがないので昨日とほぼ同じメニューであるトマトパスタを自炊することに。
何故かキッチンで調理していると、他の宿泊者(高齢者の方々)からもの珍しい目で見られた。
一体何故だろう、自炊する若者は珍しいのかな？
ここのアルベルゲは寄付を募ってはいるものの、キッチンに一通りの調味料が揃っているし
少しばかりの食材もあるのでとてもありがたかった。
夕方以降、何やら外がずっと騒がしい。音楽が流れ続けているみたいだ。
そういえばこのアルベルゲに着いた時、管理人のおっちゃんが今日は祭があるから
うるさくなると言ってたな。
せっかくなので見に行ってみると、町の小さな広場に小さなステージがあり、
そこに町中の子供とその保護者や他の大人達が集まって、みんなで歌ったり踊ったりしていた。
その風景が自分にはとても楽しそうに見え、また幸せそうに感じた。
自分もその場にいるだけですごく楽しかった。
こんな小さな街の夜にも、こんなにも楽しい時間と空間がある。
はっきり言ってトマティーナなんかよりも全然素敵な空間だったし、
今日パンプローナまでしか行かなかった人は本当に勿体無かったと思う。
少し寒かったけど、最高の夜だった。頑張って歩いた甲斐があったと言うものだ。
まだまだ先は長い。ようやくあと700キロを切ったぐらいかな。
だがそれはつまり、まだまだ楽しみなことがたくさん控えているということでもある。
明日はどんな風景に出会えるだろうか、楽しみだ。
~本日の行程~
日時：2015年9月4日
区間：Larrasoaña – Cizur Menor
距離：約20.7km
時間：約6時間 (6:50 – 13:00)
天候：晴れ & 曇り
気温：15~20度ぐらい
