初めて巡礼をやめようと思った日 ~スペイン巡礼15日目~

5:55起床。混雑している狭い共有スペースで朝食を済ませ、

いつものようにトイレ戦争を終え7:08出発。

今日は朝から雨らしい。2日目以来の雨に、久しぶりにポンチョを着て歩き出す。

 

が、果たしてこのポンチョを着た意味はあったのだろうか。

雨だけ見たらそこまで強くはない。だが風がものすごく強い。

誇張ではなく、台風の中を歩いているようだ。

歩けるは歩けるけど、ものすごく歩きにくいし風にあおられる。

着ていたポンチョは安いからかフランス製だからなのか、いつの間にか

びりびりに破けていてもはやあってもないのと同じレベル。むしろ邪魔。

 

そんな暴風雨の中をひたすら歩き続ける。

ただでさえ足場がぐちょぐちょで歩きづらいのに、風と雨によって更に歩みが遅くなる。

とにかく早く今日の目的地まで進んでしまいたいのに、なかなか足が進まない。

初めて巡礼をやめたくなった。

なんでこんな台風みたいな雨風の中、まともな装備もせずに歩いているのだろうか。

アルベルゲもこんな日ぐらい8:00に強制チェックアウトとかいうルール撤廃して、

2連泊させてくれたっていいじゃないか。しかも基本どこもオープンは12時以降だし。

(たまに一日中空いてるところもあるけど)

装備さえもう少しまともなら、まともなレインコートとバックパックカバーさえあれば、

もしかしたら多少は楽に歩けたのかもしれない。

 

風にあおられあおられまくって破けたポンチョがバタバタとうるさい、そして邪魔。

足場はぬかるんでいて、注意して歩かなければ転んでしまいそう。

そんな状況なのに重いバックパックだけでなく、片手には食料袋を持って

歩かなければならない。もう何もかもが嫌だ。

一体なぜこんな思いをしてまで歩き続けているのだろうか。

嫁のペースに合わせる余裕もなく、またすれ違う巡礼者にまともに声をかける

余裕もない。当然休む場所も全然ないので、肩も痛くなってくる。

 

歩き出して1時間ほどのところに町があるはずだからと思っていたのに、あったのは

町なんかではなくポツンと野原の中に存在するアルベルゲのみ。

1日中空いていると書いてあったので、今日はもう歩みを止めてしまおうかと思った。

だが周りのみんなは進み続けてるし、何よりここで止めてしまうのも悔しい。

更に1時間ほど歩いて、ようやく次の町に到着する。

皆が休憩していたカフェに入り、やっと少し休むことが出来た。室内は暖かい。

この町にも既に空いているアルベルゲがあったので、またしてもここでやめてしまおうか

どうか迷う。だが幸い雨が止んできたので、頑張って本来の目的地まで歩くことに。

あと10kmだしね。靴はびしょびしょだし服もずぶ濡れだけど、歩いていれば

この風の強さなら服ぐらいは乾くだろう。

スペイン巡礼15日目 スペイン巡礼15日目

そう決めてからは、とにかく早く目的地に着いて休みたかったので自然と

歩みが速くなる。地面がぬかるんでいて歩きにくいけど、それでも一歩一歩

前へ前へと進み続ける。向かい風が強かろうが関係ない。

歩いているうちに、ようやく晴れ間が見えてきた。

そして久しぶりの太陽の光を浴びたころ、目的地である街も見えてきた。

アルベルゲに到着したのは11:36ぐらい。距離と時間だけみたら昨日とほぼ同じだ。

だがそれでも体感的には、長い長い道のりだった。

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ベッドを確保しシャワーを浴びた後、外を見るとまた曇っていた。

そしてあたかもそれが自然かのように、雨が再び降り始めた。

行程の半分だけしか雨が降らなかったのだと思えば幸いだったのかもしれない。

もしこれが一日降り続いていたなら、そしてもし明日がそんな日になるとしたら、

一体どうすればいいのだろう。もう雨具は破れてしまって持っていない。

傘はあるが、この風の強さでは全くもって意味をなさない。

せめてバックパックカバーだけでも購入できれば。一応半防水のバックパックなのだが、

さすがに1日中降られ続けたらそれに耐えられるとは思えず、その場合は全ての

電子機器が壊れてしまうかもしれない。

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雨を、そして何より風の力を見くびっていた。

そして多少雨が降っても大丈夫だろうと、ケチってまともな装備を用意せずに

巡礼を始めた自分に嫌気がさす。なぜもっとちゃんと準備しなかったのだろうかと。

いや、それは事が起こった後の今だからこそ思うことだ。

元々ある程度このような事態を想定はしたけど、それでも世界一周中の荷物を

増やしたくなかったからこそ装備をあまり増やさないで歩くという選択をしたのだ。

その選択をした過去の自分を後悔するのは、あまり良くない行為に思える。

大事なのはこれからどうするかだ。過去を悔やむ暇があったら、暖かいものでも

飲みながら明日のことを考えた方が良い。

どっちみち明日雨に降られたらもはやどうしようもないので、せいぜい風邪を

ひかないことを祈りながら歩くしかないだろうけどね。

 

毎日重い荷物を背負って朝から20km歩き続けるのだって楽じゃない。

それが雨風の中ならなおさらだ。

それでもなぜ歩き続けるのか。

簡単に言えば、これはただの意地だ。

歩き始めたからには、最後まで歩き切りたい。

そして何より他の人は歩いているのに、自分だけ止めるなんて悔しくてできない。

 

この巡礼を始める際に決めた1つのルール。

それは自分のことが原因でやめることは絶対にしないというルール。

たとえ雨風だろうと、足が折れようと、この世界一周中である今この時歩き切る。

後でまたとか、そんなのは絶対に許さない。

これをやり切れないようだったら、自分に生きてる意味もなければ価値もない。

そう心に決めて歩いている。

だからどんなに辛くても、文句を言いながらも、歩き続けるのだ。

 

まぁ文句を言いながらだと嫁も嫌な気持ちになるだろうから、それは控えめにね。

アルベルゲがクソベルゲなのは当たり前だし、人間が自然の力に勝てないのも当たり前だし、

そうしたことにイライラせず受け入れられる寛容さを手に入れたいものだ。

今の自分には到底夢のような話だけどね。

だから嫁には先に謝っておこう。すまぬ。

 

3週間目の始まりは最低だったけど、この先どうなるかは全くわかんない。

また大変な日もあるかもしれないけど、それも含めてこの大事な時間を楽しんでいこう。

 

~本日の行程~

日時:2015年9月16日

区間:Hornillos del Camino – Castrojeriz

距離:約20.5km

時間:約4時間半 (7:08 – 11:36)

天候:雨(暴風雨) & 雲り & 晴れ

気温:10~15度ぐらい

アルベルゲ:Casa Nostra (6.5ユーロ)

 

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